初回面談レポート:ぬQ

メディア芸術クリエイター育成支援事業の第1回目の面談が7月17日(木)に実施されました。今年度採択された7組のクリエイターと担当アドバイザーとのやりとりの様子をレポートしてお伝えしていきます。

 

第5回目はぬQ(ぬきゅう)さん。

 

ぬQさんは、第16回文化庁メディア芸術祭のアニメーション部門で作品『ニュ〜東京音頭』が審査委員会推薦作品に選出されました。今回採択された企画『サイシュ〜ワ』は、人間の生命の輝きを3秒に圧縮したものを、3分にクローズアップしたというアニメーションで、前作『ニュ〜東京音頭』の世界から続く物語の「最終話」です。
ぬQさんのアドバイザーを担当するのはマンガ家のタナカカツキ氏と、アニメーション作家の野村辰寿氏です。

 

 

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普通の幸せを全て選ばないで駆け抜ける

 
ぬQ 普段の生活の中で、広告などで世間に溢れているイメージではない、そこから漏れてしまうような人生は、まるで幸せでないように感じてしまう。私はそんな人生を肯定できるような、人間の人生の輝きを圧縮したものをクローズアップするアニメーションを描きたい。今回の作品では、普通の幸せを全て選ばないで駆け抜ける人生を描く。私のアニメーションは自分の人生の影響が描かれてしまうので、私自身が常に新しいものを見ていたいと思う。

野村辰寿(以下野村) この作品はぬQさんの世界の視覚化ですから、口で語るというよりは、頭の中では既に完成しているのだと思います。そのアニメーションの種をみつけるために、移動するという要素は必要でしょうね。

タナカカツキ(以下カツキ) 移動して常に新しい環境に身を置くことは、ぬQさんの作品にとって新しいアイデアが見つかるので大切だと思います。

 

― 制作する上で「移動すること」に重要な意味があるというぬQさんは、移動先で見たものや移動中に考えたこと、その距離やスピードも吸収してアニメーションの中に描きます。
 

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『サイシュ〜ワ』制作中の1コマ

 

 

『サイシュ〜ワ』は「最終話」か

 

野村 今まで続いてきたシリーズ作品はこれで完結するんですか?

ぬQ 『サイシュ〜ワ』で一連の物語の完結はしますが、『サイシュ〜ワ』のあとも物語から派生する過去のエピソードなどを描くつもり。時系列がバラバラに発表されるような、いわゆるスターウォーズ方式です。

野村 ということは『サイシュ〜ワ』が本当の意味での最終話というわけではないんですね。この作品の次は全く別な作品をつくるのかと思っていました。ぬQさんはアニメもマンガもイラストもやるのがスタイル。いつも削ぎ落とし方が上手いと思っています。どこを切ってもぬQ印がでてきますね。

 

 

独特の世界観の伝え方

 
ぬQ 私は、いままでチームで制作したことがないのですが、今回ははじめてチームで制作します。しかしどうやって人に頼むのが良いか聞きたいです。音楽もいったいどうすれば良いのかわからないです。

野村 作業はキーフレームとなる絵を何枚か描いて、その間を埋めてもらうしかないですね。音楽については、ぜひこの機会を活かして作品の為のオリジナルの音楽を作ってほしい。どんな音楽をイメージしていますか?

ぬQ 私は、アニメーションをつくる時に、音が何も思いつかないんです。

野村 『ニュ〜東京音頭』は狂った感じの音楽でしたね。今回もああいうものか、それとも他のものか。どんな音楽が良いかを考えて。イメージがわかれば紹介できるかもしれないけれど、イメージがない段階から最初から相談するという方法もあります。

ぬQ もうちょっと考えてみます。今は作画をがんばるだけなので。

 

 

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チーム制作への新たな試み

 
カツキ アニメーション制作は本当に大変だと感じますか?制作は喜びでないですか?僕だったらキーフレーム間も全て自分で描きたいと思うけど、どう思いますか?

ぬQ 実は私もそう思います。今までは作品制作で他人に介入させたことはありません。アニメーション作品の制作は本当に大変ですが、その制作工程の全てが好きです。

カツキ 今回は実験ですね。

ぬQ 「最後の手段」さんの作品を見たときに、あの量はひとりでは到底できないと感じました。今回は自分だけでやる、というところから手を離してみたい。

カツキ アニメーションでしか表現できないものってなんでしょうか。絵画では絶対できないものってなんでしょうか。そういうのがいっぱい見れるようになるといい。
 
 
― 次回の面談は9月中旬を予定しています。それまでに1分を目標にアニメーションをつくるということ、音に対するイメージを固めてくるということが目標となりました。

 

 

次回は大脇理智さんの初回面談の様子をお届けします。

 

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