中間面談レポート:ゴッドスコーピオン

9月14日(日)に実施された、7組のクリエイターと担当アドバイザーとの中間面談のやりとりの様子をレポートしてお伝えしていきます。

 
 
第3回目は「Stricker」のゴッドスコーピオンさん。
>>初回面談のレポートはこちら
 
Strickerは、ゴッドスコーピオンさんを中心にオルタナティブスペース「渋家(シブハウス)」のメンバーとともに制作される作品。街中でみかける「ステッカー」のもつストリートカルチャーを媒介とした新しいコミュニケーションツールに挑みます。
アドバイザーを担当するのは東京工芸大学芸術学部ゲーム学科教授、日本デジタルゲーム学会理事研究委員長の遠藤雅伸氏、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]主任学芸員の畠中実氏です。
 
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「インターネット ヤミ市4 in札幌」で得たもの

 
 
ゴッドスコーピオン(以下ゴスピ) まず8月3日にStrickerの制作メンバーで実施した「インターネット ヤミ市4 in札幌」でのリサーチプロジェクトの報告をします。今回のヤミ市ではStrickerのオリジナルステッカーを販売し、購入者を対象に「あなただけが知っている場所とそれに関する情報」を地図上にマークしながら教えてもらいました。その結果、インターネットでは検索しても出てこないような面白い情報がたくさん集まりました。例えば「ここには謎の茶色い給水塔があって周りにたくさんの監視カメラがある」とか、「めっちゃカラスの集まる場所があるが、どうやら近所のおばさんが餌をやっているようだ」とか、「私の家の近くの街灯の下は、夜になると定番のキススポットだ」など。

遠藤雅伸(以下遠藤) いいですね。この情報から、面白かったものと面白くなかったものをスクリーニングして、面白くないものは消しても良いと思いました。面白いものは殿堂入りとしてパーマネント化するという展開もできますね。

畠中実(以下畠中) こういう一見ムダな情報に思えるんだけど、そのことを知っている誰かがいるっていう状況が、まさにローカルという感じがします。

ゴスピ 既存のサービスでは対応できないような、想定外の情報が集まってきたことがインターネットヤミ市で得たことでした。ユーザーの偏りや検索システムの構造上、まだまだインターネットは特定の情報しか出てこないことが多くて、実際に現地に行ってみないとわからないことも多いので、Strickerはローカルな情報を後押しするものとして機能させたいです。
 
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ステッカーを剥がすことと風化すること

 
― つづいてStrickerに搭載したい機能をゴスピさんが語ってゆきます。
 
ゴスピ Strickerアプリの基本機能としてやりたいことは当初より変わっていなくて、現在地にステッカーを貼ることと剥がすことができる機能を大事にしたいです。剥がす機能の必要性は上手く説明できないのですが、感覚的にとても大事だと感じます。そのステッカーの情報を剥がして、もともと無かったことにするという。

遠藤 無かったことにするというより、どちらかというと時限的に貼ってあるということだよね。

ゴスピ 実際のステッカーのように風化していくような、徐々に読めなくなることも考えています。

遠藤 それはそれで面白いかもしれないけど、デジタル情報で「読みにくい状態」をやると、僕の経験上ですが、ユーザーは不快に感じるだけの場合が多いですね。なにか工夫が必要だと思います。
 
 

Strickerにおけるグローバルとローカル

 

ゴスピ 現在Strickerにおけるグローバルとローカルなイメージについて考えていて、行ったことのある場所が自分の中のローカルな場所、逆に行ったことのない場所がグローバルとして考えています。アプリの仕様では、自分の行ったことがある場所しか見えない。レベルアップ方式にして、ユーザーのレベルが上がるにつれて見える領域が広がり、ステッカーを貼れる領域も広がっていくようにしようと考えています。

遠藤 レベルアップ方式に関してですが、一番大きなコンセプトはなんなのかを考えて、それに対してズレていたら捨てた方が良いです。なにがしたいのかピントがはっきりしなくなるので。レベルアップ方式のようなゲーム化は割と安易な発想だから、なにか別のことでモチベーションを喚起するものがあると良いと思う。大事なのは「本当に必要なのか」を何度も考えること。

畠中 当初の企画書では、誰が貼ったのかわからないステッカーが、ここにもそこにも貼ってあるという「アノニマス」な感じを重視したものだった。実空間に貼られているそれを、インターネット空間に持ち込むというのが当初の案。もちろんこういう拡張性はおもしろいけどもシンプルに考えてほしい。今回、ヤミ市でのプロジェクトが好評を博したのは当初のシンプルなコンセプトが生きていたからだと思う。新たな楽しみをつくるというのは別のフェーズで考えたほうが良いと思います。

ゴスピ アノニマスな情報の面白さという意味では、場所に関する情報を量的に可視化できればと思っています。例えば、渋谷には僕らの「渋家(シブハウス)」があって、実はそこに50人くらいも住んでいるということは外から見てもわからない。Strickerではマップ上の同じ地点に情報が集まれば、それがいくつも積み重なっているように可視化したい。

遠藤 情報がパイルとなって物質的に積み重なっていくのはいいですね。
 
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今後の課題

 
畠中 初回面談と、今回で聞いているのは、もともとのアイデアからの拡張案ですね。そういった拡張もいいけど、できることなら、どんどんシンプルにした方が良いと思う。その一方で、もっとコアなステッカーカルチャーについてもしっかりリサーチなどをしていかなければならないでしょうね。

ゴスピ これからアプリ開発に向けて、まずモックアップの代わりとしてTwitterを使って情報を集めています。スマホのGPS情報と画像に加え、その時の感情も集めています。今後はアーキテクチャーデザインを経てビジュアルデザイン、実装を繰り返してアプリを開発していきます。アプリのモックアップ開発には時間がかかりそうです。

遠藤 現状のモックアップはα版として、いろんな人にやってもらったら良いのでは?その次はクローズドβ版でやって、やがてオープンβ版にするという順番で。開発のためにもα版ははやく走らせましょう。あとは入力しやすさの工夫は大切なので考えて欲しいです。

ゴスピ 2月の成果プレゼンテーションでは、ベーシックなプロトタイプを用意することを目標にしたいと考えています。SNSサービスとの連携はいずれ実装していきたいです。
 
 
― これから本格的なアプリ開発にすすむStrickerチームのみなさん。アドバイザーの意見をうけて、次回の面談ではどこまで開発が進んでいるのでしょうか。
 
 
次回はぬQさんの中間面談の様子をお届けします。

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