中間面談レポート:吉野耕平

9月14日(日)に実施された、7組のクリエイターと担当アドバイザーとの中間面談のやりとりの様子をレポートしてお伝えしていきます。

 
 
第7回目は吉野耕平さん。
>>初回面談のレポートはこちら
 
吉野さんの企画、アニメーション作品『ブタとサカナ(仮)』は、緑の海で繰り広げられる巨大なサカナとブタの漁師たちの戦いを描く短編アニメーション作品です。前回の初回面談では表現のオリジナリティやアニメーションに合わせた音楽のイメージを固めることが課題となっていました。
 
吉野さんのアドバイザーを担当するのは、アニメーション作家の野村辰寿氏と、アートディレクター/映像ディレクターの田中秀幸氏です。
 
 
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水の表現方法とクジラのデザイン

 
吉野耕平(以下吉野) アニメーションとして新しい見え方ができないかと思って、今回の面談のためにいくつかのパターンを考えてきました。
 
― 吉野さんが用意した映像を見ながら、作品制作の進捗報告が行われました。
 
吉野 まず水の表現ですが、ゼリーのような透明感のあるものが、穏やかな海では大きな固まりとしてゆっくりと滞留し、海の表情が激しくなると細かいクラッシュゼリーのようになって動き回ることで面白さを出したいと思っています。それとは別に、同じ素材ですが「スローな見え方」のバリエーションも作ってみました。こうするとディテールまで見えやすくなると思います。ただ、そうすると作業に時間をとられて、スピードが早い方がデザイン的な部分ではごまかしが効くので、悩みどころです。

そして、前回までは「巨大なサカナ」としていたクジラのデザインもできあがりました。このクジラが水中を割って進んでいくシーンですが、クジラのまわりに海流がまとわりつきながら滑るように水中を泳ぐ表現にしました。このように、水の表現は「マットな質感をもったもの」と「透明なもの」の両方を用いています。試行錯誤を繰り返したので水の表現方法は固まってきたと思います。

野村辰寿(以下野村) 吉野さんが時間かけて表現を追求した成果がでていて、うまくいってると思います。この作品の世界は、舞台がこの地球だと限らないので、このような水の動き方であっても良いと思います。スピード感のある表現は早さでごまかせるって言っていたけど、クジラなどの巨大な生き物の表現、特にそのたっぷりとした感じが遅くなった時にどう見えるのかは気になるところです。スピードが早いだけで訳が分からないまま終わるよりは、どういう作りになっているか分かる方が良いと思います。

田中秀幸(以下田中) ものの動くスピードと見え方については、ひきつづき試行錯誤してやっていくしかありませんね。

 
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音楽との調和

 

野村 作品のスピードは早いだけだと軽い作品になってしまうから、緩急をつけるのはとても大事。それはアニメーションだけじゃなくて楽曲についても同じじゃないかな。
 
吉野 作品の音楽ですが、野村さんに烏田晴奈さんをご紹介いただきまして、本日の面談にあわせてサンプルを作ってもらいました。
 
― 先ほどの映像に合わせて音楽を流して音のイメージを固めてゆきます。
 

吉野 提案いただいた曲は僕がイメージしているものに比べて若干明るい印象でした。烏田さんには「一回でも聞くとつい口ずさんでしまうようなもの」「海外でも伝わるようなメロディー」と伝えています。これから擦りあわせて最終イメージに近づけて行きたいです。

野村 吉野さんが言う通りに、音楽は耳残りがするような、印象的なものにしてもらうといい感じになりそうですね。烏田さんは優秀な人ですし、具体的な指示を出せばいろんな引き出しを持って答えてくれます。

吉野 はい、とても楽しみにしています。緩急の強すぎる音楽は印象に残りにくいと思っていますが、見る人が解りやすい展開で気持ち良さを追求したいと思っています。

野村 アニメーションの大きな流れができれば、それに合わせて曲を作っていけるので、展開に合わせたエスカレーションを作っていけると良いですね。

田中 最終的に音楽は生で録音するんですか。

吉野 アニメーションがCGで作られているので、ゲーム動画のように見えてしまうともったいない。ですので、この作品では生で録音してほしいと伝えました。

 
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キャラクターの存在感

 

― 吉野さんの作成した設定資料をもとに詳細な部分についてもアドバイスが向けられます。
 

田中 主役が「水」のシーンも多いと思うけど、物語の主役は「クジラ」なのでそちらも大事にしてくださいね。水の表現に続いて次の目標も決めましょう。

野村 巨大なフォルムを持ったものがどんな動きをするかの表現ですかね。あとは「ブタ」のキャラクターがどうなるのかも見てみたい。吉野さんの作品はポップでアナログ感の少ない世界だと思うんだけど、だからこそキャラクターは大事だと思います。

吉野 まだ水の表現ができたばかりですが…、頑張ります。

田中 サンプル映像のブタさんたちの集団の動きは面白いですね。

吉野 これはテストで作ってみたのですが、集団は動きがないと「CG臭さ」が全開になってしまうので、動きをつけてあげる必要があると思いました。

田中 キャラクターをよりよく見せることを考えてから具体的にしていきましょう。主役が目立つようにね。今は「水」に負けちゃってるから。

吉野 そうですね。次回はキャラクターのテスト映像に加えて、音楽のイメージももっと固められていると思います。

 
 
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「ストーリー」の見せ方と感情表現

 

田中 これからは物語をどう表現するかという深いところに入っていくと思います。手法的な新しさなども課題になってきますね。シンプルな表現でも感情移入できるものが作れればいいので、その方法を考えて聞かせてほしいです。

野村 技法が見えてきたところで、脚本をもう一度見直してみると良いと思います。ブタがどう絡んで、どう展開するか。あとはタイトルだね。タイトルはグロ-バルに英語でつけてもいいと思うけど。

吉野 海外に出すときのタイトルは難しいので、よく考えてみます。

田中 ストーリーだけでハッとさせたいということでも良いでしょう。いずれにせよ作品のアプローチがはっきり見えるといいなと思います。

野村 デザイン画があって、独自のクリーチャーがでてくるだけでも楽しくなると思うけど。

田中 ごりごりのCGだと、光の当て方で感情表現を示すという方法もあるけど、この作品世界の中でどうやって感情を表現していくかを考えた方がいいですね。シンプルな表現でも感情表現ができるということがわかれば、今回その表現をやった意味があると思います。音楽もそういった実験要素のひとつだと思います。

 
 
― 課題だった水の表現に進展があった吉野さん。音楽のイメージも固まってきました。これからの進展が楽しみです。
 
 
 
最終面談は11月末から12月初旬にかけて開催予定。その様子も今後レポートにてお伝えいたします。

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