最終面談レポート:吉野耕平

11月25日(火)に実施された最終面談のやりとりの様子をレポートしてお伝えします。

 
 
第7回目は吉野耕平さん。
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吉野さんの企画、アニメーション作品『ブタとサカナ』は、緑の海と巨大なクジラ、ブタの漁師たちを描く短編アニメーション作品です。 吉野さんのアドバイザーを担当するのは、アニメーション作家/多摩美術大学准教授の野村辰寿氏と、アートディレクター/映像ディレクターの田中秀幸氏です。
 
 

キャラクターの「動き」の追求

 

― シンプルなデザインのアクションがテーマになるという吉野さんの本作。クライアントワークの制作もキャラクター表現のヒントになったといいます。
 
 

吉野耕平(以下吉野) マットなデザインで陰影もつけつつ、動き自体の楽しさを追求したいと思っています。偶然、少し前に「キャラクターのダンス」がテーマのクライアントワークをさせていただく機会があり、その経験も大きなヒントになりました。今回の『ブタとクジラ』と一部同じスタッフ体制での作業だったので、チームとしての連携もより深められたと思います。
 
 

paco / September MV Official

 
 

佳境を意識したストーリー

 

― 中間面談では、水の表現やキャラクターの魅力、ストーリーの見せ方が課題となっていました。それを踏まえて、吉野さんは構成を書き直したといいます。
 
 

吉野 前回まではブタたちの「漁の過程」そのものを描く予定だったのですが、子ブタとクジラとの交流や、「海流が世界を支えている」というスケールの大きさも描きたいと考えています。本作の世界には、クジラより大きなものとしての巨大な海藻、それを更に上回る大きな存在として海流があります。もっと表現を自由に描きたいと思っています。

野村辰寿(以下野村) 前よりは世界観もはっきりとしているし、見せ場の意識もあると思うんですが、個人的には要素を盛りすぎかなと思います。当初からある海中の古代都市の設定も残っていますが、それが意味するのは世界観の広がりだと思うので、その設定は別の機会にとっておいてもいいんじゃないでしょうか。
せっかく有機的な世界で構成しているのに、人工物のディテールが入ってしまうと違和感があるのと、テクスチャーを持たないCGでそれを描いたときに、古めいたもののテイストがわかりづらくなりそうな気がします。いっそ抜いてしまったほうが「動き」で勝負できると思うんです。

吉野 それは僕も感じていたところでして、改めてストーリーボードにしたときに、古代都市のシーンで流れが一回止まるんですよね。古代都市の設定は最初からやりたかったものですが、特にストーリーと絡まずに存在していることに疑問は感じていました。

田中秀幸(以下田中) ちゃんと内容が伝わるように表現できれば問題ないと思いますが、5分くらいの映像の中で、台詞もなく表現をするのはなかなか大変だと思います。

野村 実際に見た人が、何が起こったかわからないこともあるので、どうしても説明的に描く必要があると思うんですよね。敵対するものが協力しあうというストーリーは王道ですが、その分感情移入しやすいので、そこに特化したほうがいいと思います。いろいろなネタが詰まってくると、逆に余分なものが明確になると思うんです。今回はクジラや海藻の巨大さ、水のフォルムのおもしろさなどが作品の肝ですよね。だから、そのあたりにもう一回フォーカスを当て直すといい気がします。コンテは力作だし、再現できればいいとは思うんですが、このタイミングで作品の佳境を現実的に考えることも大事だと思います。
 
 
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ゴールの設定

 
― 話は、現実的なゴール設定へと進んでいきます。

田中 今回、コンパクトにひとつの作品として見せられるものを作るのか、未完でもいいから大作に挑むのかを決めたほうがいいですね。たとえ未完のパイロット版でも、その映像に価値があれば、次に繋げられると思うんです。

吉野 手伝ってもらっているスタッフとは、2015年の秋くらいに完成させようと話していました。もともとやりたかったのは、CGアニメ―ションと手描きアニメ―ションの中間のマットなアニメ―ション表現。子供でも見ることができるエンターテインメント作品だったので、そういう意味では未完の作品というよりはエンターテインメントに着地させて、次に繋げたいと思っています。

田中 それだったら、ひとつの作品としてまとめたほうがいいですね。

野村 エンターテインメント作品にしたいということと、いろいろなフェスティバルへの出品も考えているのであれば、コンパクトにパッケージングされたほうがいいですね。

田中 そのほうが今後の計画を立てられますよね。
 
 

ビデオコンテの必要性

 

野村 あとは、全編でカメラの視点が動いていると気持ち悪くなってしまうので、見せ場はフォローしつつも、その前後はフィックスされたカットワークで見せるなど、きちんと狙ったカメラワークを意識したほうがいいと思います。

吉野 そうですね。いわゆるCGアニメーションにならないで、実写的なカメラワークがいいと思っています。

田中 ビデオコンテを作って整理すると、カメラワークが動き回る心配もなくなりますよね。1カットが全体から比較してどれくらいのバランスで使われているのか、一番盛り上がるシーンが全体のどれくらいにあるのかなどの設計が大事になりますよね。

野村 作品のテンポ感やメリハリを探る上でも、ビデオコンテは必須だと思うんです。一枚絵で描かれていることの長さは、構成だけじゃわからないですよね。ビデオコンテを作って、できたシーンから差し替えていけば残りのタスクもわかりやすくなります。

田中 特に、多くのスタッフと共同作業する場合は便利だと思います。

 
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参考にした資料をもとに説明をする吉野さん

 
 

成果プレゼンテーションに向けて

 

吉野 12月中旬から2月頭までの作業で、冒頭のパートまでつくる予定です。あとは象徴的なカットをいくつか作りつつ、全体の世界観をわかる予告編を作るというのが、2月の成果プレゼンテーションまでのプランです。

田中 テスト映像というよりは、予告編としてちゃんとパッケージしてほしいと思います。意外と冒頭から作り始めなくても、編集をすれば、断片的であってもうまくトレーラーとしてまとめることはできますよね。

野村 初見でも内容がわかるくらいのビデオコンテまで作れば素晴らしいと思います。そこからどういうものを作りたいか、全体がどういう流れなのかかがわかりますよね。

吉野 まずは、今回の構成から、ビデオコンテをざっと組んでみたいと思います。

田中 それでも十分だと思いますけどね。ビデオコンテを作ると、例えばこのシーンだけでも何秒くらい見せたらこのシーンがよくなるかって頭のなかだけでイメージできると思います。
 
 
 
― 最終的なアドバイスを受け、今一度課題が明確になった吉野さん。成果プレゼンテーションに向けて、いよいよ本格的な制作が進んでいきます。
 

 
成果プレゼンテーションは2月11日(水・祝)に国立新美術館(第18回文化庁メディア芸術祭受賞作品展の開催期間中)行われます(詳細はこちら)。
その様子も後日レポートでお伝えいたします。
- 定員に達したため、参加申込の受付は終了いたしました -

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