これまでの採択企画

「メディア芸術クリエイター育成支援事業」では、これまでのメディア芸術祭受賞者(審査委員会推薦作品を含む)である若手クリエイターを対象に制作支援を行いました。選出されたクリエイターは、専門家によるアドバイスやサポートを受け作品を制作し、文化庁メディア芸術祭の開催期間に合わせて成果を発表しました。ここでは採択されたクリエイターと作品企画をご紹介します。

 

平成27年度

市原 えつこ『デジタルシャーマン・プロジェクト』
(リサーチ&アートプロジェクト)

魔術や信仰、科学やテクノロジー。両者はそれぞれ遠いところにいるように見えて、 どちらも「ここにはない何か」を再現するという性質において、実は極めて親和性が高く、近い場所にいる。『デジタルシャーマン・プロジェクト』では、科学技術の発展を遂げた現代向けにデザインされた、新しい祈りのかたち、葬り方のかたちを提案する。日本人特有の生命や死の捉えかたを探求するリサーチプロジェクトとしても機能させる。

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岩井澤 健治『音楽』
(長編アニメーション映画)

長編アニメーション映画『音楽』は2012年6月にスタートした自主制作の企画である。実写映像をもとに作画するロトスコープという手法で制作され、制作体制、制作過程、上映方法、資金繰りなどを随時公開し、その制作プロセスにおいても現代における映画づくりの可能性を少しでも拡げる作品にしたいと考えている。

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佐々木 有美+ドリタ『Bug’s Beat』
(バイオ&サウンドアート)

虫(Bugs)は小さな小さな生物。彼らの微細な足音を特別なマイクロフォンで爆音にして聴くと小さな小さな目の前の虫(Bugs)が、大きく感じられ、自分の大きさが変化したように感じる。これは録音物や、ヘッドフォンでは感じられない。
この不思議な音響体験を使い、何週類かの昆虫の音を一定の時間でオンオフしてビート(Beat)をつくり、新しい音楽体験ができる作品を目指す。

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鋤柄真希子、松村康平『深海の虹』(アニメーション)

アニメーション『深海の虹』は深海の神話を描いた作品である。それはギリシア神話で語られるような種を越えた愛であり、私たちが未だ立ち会うことを許されない生命の営みである。生物発光は本作の重要なテーマの一つである。本作のねらいは、深海という闇の世界を舞台に、生命活動を光として捉え、マルチプレーン技法を用いたアニメーションによって表現することである。

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姫田 真武『ようこそぼくです4』
(アニメーション)

うたとアニメーションのシリーズ作品『ようこそぼくです』の第4弾。懲りずに孤立がつながるよ、と自己暗示をするうた『レッツコリツ』、ずっと出番を待っていた謎の女“ようこ”が歌ううた『ようこ、素朴です』、ミミズのあの子や年上のあの子たちと首をのばすうた『こそこそぼくです』の3曲収録予定。

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ひらの りょう『スーパーマーケット』
(アニメーション)

ここから4,000km離れた東南アジアの工場で作られたTシャツを着て、男は県道を抜けるヘッドライトとラブホテルの看板に照らされながら、夜道をスーパーマーケットへ向けて歩く。
女はシフトを終えて、遅い夕食の食材を選んでいる。
県道のまん中には車に轢かれた猫の死体が転がっている。
男と女はその夜出会う。
男と女と猫の幽霊を登場人物に、スーパーマーケットを舞台に時間や空間を越えた、郊外のボーイミーツガール物語。

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平成26年度

有坂 亜由夢『おにわ』(アニメーション)

『おにわ』は、手描きのアニメーションと、人間や大道具を使ったコマ撮りアニメーションを融合した映像作品である。主人公の女性が、ある老人の家を訪ねると、暗い部屋に大きな箱庭を作っていた。女性が箱庭を覗くと、その中にいる一人の小さい少年に焦点が合っていく…。 本作は、日本の神話の深層に潜む地下水脈を源泉とし、そこに流れる原始的生命力を、今ここに生きる私達にリアリティを持ってそそぎ込もうとする試みである。

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大脇理智『ダンスする内触覚的宇宙の開発』
(リサーチ&アートプロジェクト)

マッサージやストレッチトレーニングにおける内触覚に目を向けると、体内への働きかけとして総合的な身体感覚に優れ、これらを体内空間への表現としてとらえた時、全く別の身体表現への可能性が開かれるのではないか?

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チーム「ストリッカー」『Stricker』
(リサーチ&アートプロジェクト)

Stricker(ストリッカー)は、ステッカーの持つ『タギング』『波及』という要素に注目し、その力を促します。ユーザーはStrickerアプリケーションを端末にインストールし、実際の街の中でGPSと同期した情報空間上の地図に仮想のステッカーを貼付けます。LET’S BOMB STEET!!!
http://ssssstrickerrrrr.com/
チーム「ストリッカー」
本企画は渋家(シブハウス)のメンバー内で構成された、ゴッドスコーピオン、hnnhn、宮城 恵祐、Rei Nakanishiのチームによるもの。加えてayafuji、Kenta Cobayashi、平沢花彩が協力。

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ぬQ『サイシュ~ワ』(アニメーション)

昨年の花火の破片を集めて作られた女「ふたこ」は、8月31日花火大会の日に、体が弾ける運命を持っていた。しかし、体にはこの1年間の思い出が詰まっていて、夜空へ飛ぶ方法も、体の光らせ方もすっかり忘れていた。本能を呼び戻す特別な儀式。強制転生した「ふたこ」が、生まれ直し、夜空に打ち上がって弾けきるまでを追う。人間の生命の輝きを3秒に圧縮したものを3分にクローズアップした、前作『ニュ~東京音頭』から続く物語の「最終話」。

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三原 聡一郎『空白のプロジェクト#3 虹をかける糞土』
(リサーチ&アートプロジェクト)

空白のプロジェクト#3 虹をかける糞土は、微生物燃料電池の発電エネルギーにより小さな虹の発生を試み、交換不可能な価値の探求を目的にしたリサーチ&アートプロジェクトです。エネルギーをいのちの視点で捉えることは可能か?という問いに対して、生命活動自体が電気を生む微生物燃料電池はとても示唆的と感じています。発電方法としては特にユニークであるこの手法に自分の身体の一部を与え、ニュートンの光学実験から着想を得た小さな太陽を灯す意味を多くの人と考えてみたいと思います。
京都芸術センター制作支援事業/協力:シンバイオティカ

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安野 太郎『When The Zombies Go Marching In』
(サウンドアート、作曲、技術開発)

ゾンビ音楽とロボット掃除機を合体させる、動くゾンビ音楽の実現。動くゾンビ音楽は動作によって笛の運指を決定するアルゴリズムが組み込まれており、それによって音が変化していく。複数台のゾンビの音が折り重なって音楽が生まれる。タイトルのWhen the Zombies go marching in は、黒人奴隷が生んだジャズにちなみ、新しい時代の奴隷であるロボットが奏でる音楽として、ゾンビ音楽を打ち立てようという考えから。
※ゾンビ音楽は、安野が2012年より取り組み続けている、非-人間指向のロボット音楽。

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吉野耕平『ブタとサカナ』(アニメーション)

緑の海で遭遇した、巨大なサカナとブタの漁師たち。両者の間に張られた釣り糸は、まるで楽器の弦のようにそれぞれの命をつなぐ。オーケストラのように指揮に合わせて竿を操る漁師たち。波に躍る小舟。激しい戦いの中、一匹のコブタ漁師が海へ落ちてしまうが…。陰影やライティングを排したシンプルなCG表現で描くさまざまな生き物、海藻、そして水の流れ。アニメーションの原点「色と形が動くよろこび」への試み。

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 平成25年度

勝本 雄一朗『Box Run』(ガジェット)

球、円錐、三角柱。あまたある立体のひとつ、立方体(正六面体)は転がりにくい。辺は等しく、角は直角。サイコロのように振られなければ、机上を弾むこともない。そんな立方体が、もし自らの力で転がり始めたら。前後左右に、縦横無尽に、意図せぬ方向に、転がり始めたとしたら。しまいには群れを作って、踊り始めたとしたら。本提案は、転がらないものを転がすというテーマのもと、踊る箱の実現に挑戦する。


小松宏誠 『Lifelog_グライダー』(アート)

自身の過去作品に『Secret Garden』という、鳥の翼を素材とし、上昇気流に乗り空中を舞い続ける作品があるが、今回の企画では、オブジェ自体の変形を獲得し、バレエやブレイクダンスのような、緩急のある美しい回転を目指す。浮遊するオブジェの変形を実現するためには、ワイヤレス給電のリサーチと開発が重要な課題となる。太陽電池フィルムを用いた翼による給電の検証をしていたが、想像する装置に対して現実的な結果にならず、ファン等、装置の大型化による可能性の追求へと方向性を変更した。


鈴木沙織『大丈夫だよ』(アニメーション)

先の見えない未来に皆が不安を感じている。そんな閉塞感に満ちた時代に我々は生きている。では今人生は憂鬱なのか?人生は苦しむ事や生きる事に値しないのか?
そうではない、という事を事実として信じられるように生の中に喜びがある事を思い出させるような作品を作る。私自身へ、そして同時代に生きる人々へ向けた切実な『大丈夫だよ』というメッセージを描く半立体の人形アニメーション作品。


スプツニ子!『ムーンウォーク☆マシン、セレナの一歩』(アート)

『私も月面に自分の足跡を残して「この一歩は人類にとって...」とか、言ってみたい!』というアーティストの願望でスタートしたプロジェクト。テキサス州ヒューストンのNASAジョンソン宇宙センターや、宇宙開発レース「Google Lunar X Prize」日本参加チーム「ハクト」のメンバー達の協力で、「月面に足跡を残すためだけの月面探査ローバー」を開発する。


水江未来・藤田純平『ももんくん -momom-』(アニメーション)

アニメーションを見ること。それは、作家のアタマの中をのぞき見ること。
アニメーションを作ること。それは、己のアタマの中のアイディアを膨大な量の画材と時間を駆使し、外の世界へ脱出させること。
本企画では「想像による創造」というアニメーションの本質的テーマそのものを「ある少年の一日」というモチーフにのせ、描く。
主人公の少年の夢と現が混じり合い、具象と抽象が交錯する新たなアニメーション表現を目指す。


平成24年度

大西 康明 『までの距離』(アート)

覆われていた膜は引き剥がれてどこか違う場所へと到達する。身の回りにありそうなもので組み合わさる世界で起こる非日常な出来事。 協力者:大場 美和、赤澤 達平


樫田 壮一 『餅つき』(アート)

日本の伝統的な祝いの行事、「餅つき」。
 古代よりハレの日の行事には欠かせない縁起食だった餅を生成する行為は、現代においても神聖なものである。本プロジェクトでは、この行事を表す擬音「ペッタン」を科学の力で再構成し、「爆音と閃光」によって「お餅」をより美味しくするシステムを開発した。 プロデューサー:樫田 壮一(INAGE / Omantic Records)、パフォーマー:江戸川 卍丸、プログラマー:真貝 雄一郎(ArtPublicity / コバルト爆弾αΩ)、デバイス制作:堀 聖也(ArtPublicity)・塩澤 達矢(TANZVOLK)、サウンド デザイナー:内田 亮太(technoplanet)・小林 翼斗(technoplanet)、映像デザイナー:原田 和馬(ArtPublicity)


河野 亜季 『女郎蜘蛛』(アニメーション)

蜘蛛はある一人の男に恋をする。嫉妬に狂った蜘蛛は男を振り向かせる為美しい女性の姿になり男を惑わすのだった…。
 「源氏物語」の中の光源氏、葵の上、六条の御息所の間で起こる車争いの話を題材に、嫉妬に心を奪われた六条の御息所を女郎蜘蛛に例え、女の情念を描くアニメーション作品「女郎蜘蛛」。古い伝統を誇る「京うちわ阿以波」と共同制作を行いスクリーン上映用として再編集し、日本の伝承話を現代アニメーションの世界に甦らせる。音楽・プログラミング:山本清香、音響効果:滝野ますみ、スクリーン・造形協力:梅澤豊、制作協力:京うちわ阿以波、協力:gallery SHINA


榊原 澄人 『É in Motion No.2』(アニメーション)

表現したいのは言語と沈黙の狭間に漂う、作家自身の中に潜むイメージの連鎖と、それにまつわる感情の想起である。描かれるモチーフは作者が生まれ育った北海道の原風景と記憶のイメージ、アイヌの神話をベースにした寓話等。イメージはそれぞれが独立しながら関係性を保ち、観る者がそれらのイメージの断片を繋げて物語を生み出す神話的構造をとっている。円環形の中に見いだされるのはゆがんだ時間(同時多発的/リゾーム構造的)と空間(フラクタル的)のちぐはぐな関係性。 〈失われゆくものたち〉と〈来たるべきものたち〉を見つめた作品。 サウンドエンジニア:川島隆、音楽:山中和子(piano)・永澤菜若(violin)、動画:小林真紀・佐々木さやか・岡本典子・キム・イェオン、動画・構成:榊原美土里、設営プログラミング:松本祐一


SHIMURAbros 『映画なしの映画 – アンダルシアの犬』(アート)

映画はその発達の中で編集を発見しました。 編集は時間をつまんだり、接着するだけでなく、空間をも接着できるのです。光の連続で構成されていく時間、映画の中にしか存在しない創造的地理の空間を3Dプリンタで物質に置き換えてゆくことで、映画の側面からの鑑賞を可能にします。ダリ、ブニュエルの傑作「アンダルシアの犬」をテーマに、時間と空間と映像の新しい次元の表現に挑戦します。 協力 : 株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ


平成23年度

藤木 淳 『ゲームキョウカイ』(ゲーム)

ハードの境を越え、さまざまなゲーム機を横断しているかのように楽しむひとつのゲームである。また、様々なゲームの境界をシームレスに繋ぐ試みでもある。ここでの境界とは、物理的な境界のみならず、認知や社会の境界も含まれる。 制作協力: A1/K/okuoku/池田 圭佑・大屋 努・末久 知幸・瀬川 景子・坪井 優介・渡邉 暁子(倉敷芸術科学大学)/石田 翔一・伊勢田 世山・早川 琢眞・林田 智樹(早稲田大学)/向井 伸幸(ディアロガーレデザイン)/山脇 尚 *NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]「オープン・スペース 2012」出品 Ars Electronica hybrid art 部門honorary mentions選出


津島 岳央 『凪の静寂に』 (アート)

 自然は僕らが生まれるずっと前から存在していた。
 その一部として現われた人間は、自然の対義語に人工という言葉を作った。
 そして僕らの生活は人工の物にあふれ、その外側に自然があるという幻想が2011年3月11日に揺らいだ。東日本大震災。
 地上の生命は意識から揺れて、自分たちの生きているこの地球を再認識する必要性に迫られている。僕ら人間の目的は何なのだろうか?
 10月。オランダを訪ねた僕は、ハーグ近郊の丘で宇宙人と出会った。
 制作協力:佐藤 壮生


真鍋 大度 『pub-bio(public bio data)』(アート)

生体データの客観性、信頼性の高さに注目して、心拍数、脳波をiPhoneに取り込むデバイスを開発し、取得したデータが評価の基準そのものとなるサービス、コンテンツの試作を行った。現状ではセンサーを肉体に埋め込むことは不可能であったため、耳たぶにセンサーを取り付けて、オーディオジャックから有線でデータをキャプチャする方法を選択した。「あの作品良かった」と言われることと、作品の鑑賞時に 心拍数が通常時の1.5倍になったことと、どちらが価値のある情報になり得るのか。 デバイス開発:照岡 正樹、ファームウェア開発:石橋 素(Rhizomatiks)、ソフトウェア開発:比嘉 了(Rhizomatiks)


デバイスと連動したiPhoneとその体験者のイメージ映像


大山 慶 『放課後』(アニメーション)

なんの変哲もない中学校の放課後。芽生えたばかりの自意識に振り回されながら、皆がそれぞれの放課後を過ごしている。自分にとっての自分、他人にとっての自分、他人にとっての他人、自分にとっての他人・・・。思春期の少年達が抱き始めた自意識や性欲、そして、それらによって生まれる彼らの残酷さや滑稽さ、愚かさ、危うさ、愛おしさを、革新的な表現方法で形にしたアニメーション作品。 サウンドデザイナー: 飯嶋慶太郎、プロデューサー:廣瀬 秋馬、動画:窪田レナ・藤井安紀子・盛田知世、彩色:岩本麻依・黒坂麻衣・橋本 新・柳下未紀・世継夏南


ナガタ タケシ / モンノ カヅエ (トーチカ)『ピカピカ2011 〜太陽光で描く〜』(アニメーション)

2005年より始めた、光を使ったラクガキをみんなで描く参加型アートプロジェクト「ピカピカ」。その2011年のプロジェクトは懐中電灯を使わず、太陽光を使って制作した。東日本大震災の後、ボランティアや視察を続けているうちに、一瞬にして失われた風景、外に出て自由に遊ぶことが許されない子供たちなど、多くの変化を目の当たりにした。太陽の光で描く参加者の「想い」を日本各地の風景に載せた写真で紡ぐ。制作協力:U-zhaan (タブラ)・Pすけ (ハン)・大阪電気通信大学・JIAMS (先端マルチメディア合同研究所)・モトブ音響・カンキ化工材有限会社・熊本市現代美術館・五感の学校・みやざきアートセンター


四宮 義俊 / 皆川 真紀 『水槽の虎』(アニメーション)

何かがその場に〔いる〕〔ある〕というリアリティはとても個人的な体験に拠り所を求めている。そのため個人個人が持つリアリティには、あらかじめ盛り込まれていたかのような誤差が生じる。 一匹のトラを通じて、観察するという行為の中に現われる「ほつれ」から、個人が見ているものの不確かさを浮かび上がらせたいと考え、アニメーションを制作した。作画:小林智・満尾洋之・福山一光・龍口経太・川尻健太郎・小川晴代、美術:丹治匠、音響:吉野耕平、音楽:松本祐一※「祐」は旧字体「示右」、タイトルデザイン:丸山暢彦

 


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