令和元年度 国内クリエイター創作支援プログラム 採択結果

「令和元年度メディア芸術クリエイター育成支援事業」では、8月19日から9月6日の募集期間に集まった応募企画の中から、選考を経て計9件(育成支援A(個人):6件/育成支援B(団体):3件)の企画が採択されました。今後、具体的な支援が始まり、その進捗状況は定期的に本ウェブサイトでご紹介していきます。また、採択された企画の「成果プレゼンテーション」を2020年3月に開催予定です。

採択企画一覧


育成支援A(個人)


『Traffic』(仮)

(メディアインスタレーション)

大西 景太

企画について:
音の質感を視覚化した3Dアニメーションを、その音が鳴る位置にあわせて空間に配置するメディアインスタレーション作品。多チャンネルのスピーカーを内蔵した展示台上に、MRデバイスを用いて複数のアニメーションを表示する。個々のアニメーションは、それぞれ固有の音色、リズムを持つ音に一つずつ対応している。視覚化された様々な音(アニメーション)が行き交うオーディオビジュアル環境をつくる。

大西 景太 (ONISHI Keita)
映像作家/音楽の構造や音の質感をアニメーションで表現する手法を用いて、映像インスタレーション作品やミュージックビデオを制作する。またCM、製品コンセプトムービーなど広告表現にも携わる。近作に「音のアーキテクチャ:Audio Architecture」展、名曲アルバム+「パッヘルベルのカノン」など。東京工科大学デザイン学部講師。
https://www.keitaonishi.com

文化庁メディア芸術祭での受賞・選出歴:
第15回アート部門審査委員会推薦作品『Forest and Trees』
第16回エンターテインメント部門新人賞『ハイスイノナサ「地下鉄の動態」

『劇場屋台』(仮)

(映像インスタレーション)

重田 佑介+Zennyan

企画について:
本作はプロジェクターを内蔵した屋台型の映像投影装置。映像は屋台天井に取り付けられた大きな反射板で空間的に投影される。どこからかやってきた紙芝居屋のような上映空間は、映像を鑑賞する人々も含めて物語的で舞台空間のようでもある。スクリーンの中と外を分けるのではなく、アニメーションの世界と現実の風景が重なり合いながら、全体としてひとつの物語的な世界が結実する劇場空間を作り出したい。

重田 佑介 (SHIGETA Yusuke)
1981年生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科修了。驚き盤やゾートロープなど装置や原理を含めた広義なアニメーションへの興味からメディアアート領域で活動。フィルムの登場によって、原始アニメーションの持っていた装置(メディア)と映像(コンテンツ)の2面性が切り離されたと考え、古典アニメーション的な立場から、映像とその外側にある装置や空間を横断的に体験するアニメーション作品を制作。
http://www.shigetayusuke.com

Zennyan
1984年、千葉県生まれ。東京藝術大学美術研究科工芸専攻修了。日本の伝統工芸や現代美術を学んだ後、コンピューターゲームの制作過程や美観に魅せられ、ピクセルアート制作を開始。ゲームのキャラクターや背景、UI、アニメーション等の制作を行う傍ら、個人的なアート作品として、デジタル表現の中にアナログ絵画が持つ身体性や偶発性を取り込み、ピクセルアートの新たな可能性を模索。
https://zennyan.wixsite.com/zennyan/

文化庁メディア芸術祭での受賞・選出歴:
第12回アート部門審査委員会推薦作品『お話の力学』(重田 佑介)
第14回アート部門審査委員会推薦作品『がそのもり』(重田 佑介)

『「Shuttlecock Dialogue」と「人工筋肉学校」』(仮)

(アートプロジェクト、レクチャー、ワークショップ、トークセッション)

滝戸 ドリタ

企画について:
人が発する声により、生き物の擬似的な反応を作り出し、その相対している存在に気づく「瞬間」を作り出そうとする試み。その「瞬間」をよりリアルにする為に「人工筋肉」という技術を取り入れることを検討。それらを作家が学ぶと同時にそれを習得する場、今後のロボティクスとアートについて考える場を開放し、自身のようなロボット工学に縁がないアーティストが作品に取り入れられるきっかけになるような学校も同時に模索する。

滝戸 ドリタ (TAKIDO Dorita)
東京を拠点に活動。音響を中心に「視覚」と「味覚」、「聴覚」と「視覚」など、異なる五感を組み合わせた新たな体験を生み出すことを基本姿勢としている。テクノロジーとデザインを並走させながら、作品を仕上げている。
http://doritab.com

文化庁メディア芸術祭での受賞・選出歴:
第18回エンターテインメント部門新人賞『Slime Synthesizer』(ドリタ/エアガレージラボ(川内 尚文/佐々木 有美))

『「世界の終わりの魔法使い」新三部作』

(マンガ、電子配信)

西島 大介

企画について:
『世界の終わりの魔法使い』新シリーズの個人制作。『4』『5』『6』からなる「新三部作」の最新作『世界の終わりの魔法使い 5 呪われし者たち』(仮)の原稿制作および電子書籍による刊行プロジェクト。独立したマンガ制作環境と電子書籍によるセルフ・パブリッシングの可能性を探る試み。

西島 大介(NISHIJIMA Daisuke)
マンガ家。2004年に描き下ろし単行本『凹村戦争』でデビュー。代表作にベトナム戦争を描いた長編『ディエンビエンフー』『ディエンビエンフー TRUE END』、ファンタジー・シリーズ『世界の終わりの魔法使い』、絵本的で寓話性を持つ『すべてがちょっとずつ優しい世界』など。
https://daisukenishijima.jimdo.com

文化庁メディア芸術祭での受賞・選出歴:
第8回マンガ部門審査委員会推薦作品『凹村戦争』
第17回マンガ部門審査委員会推薦作品『すべてがちょっとずつ優しい世界』
第21回マンガ部門審査委員会推薦作品『ディエンビエンフー TRUE END』
第22回マンガ部門審査委員会推薦作品『ディエンビエンフー TRUE END

『Quasicrystal – ジェネラティブな手法を用いた準結晶的な織物表現の探求』(仮)

(テキスタイル、リサーチ)

古舘 健

企画について:
西陣織の老舗である「細尾」と古舘 健のコラボレーションによるR&Dプロジェクト。長い年月をかけ人間がつくり上げてきた布の「完全組織」。コンピュータープログラムを積極的に用い、それを解体し、改めて布を構成する最小単位から再構築を行うことで、かつて存在し得なかった新たな組織構造の布を作り出す。また、その技術を他アーティストと共有し、多様な表現を模索する。

古舘 健 (FURUDATE Ken)
1981年生まれ、京都在住。アーティスト/ミュージシャン/エンジニア。サインウェーブやパルス、ドットやラインなどミニマムな要素を用い、その特性を際立たせることで複雑な現象を作り上げる。2002年よりサウンド・アート・プロジェクトThe SINE WAVE ORCHESTRAを共催。ミュージシャンとしても活動。エンジニアとして、他作家の作品に多数参加。Dumb Typeメンバー。
http://ekran.jp/kf/

文化庁メディア芸術祭での受賞・選出歴:
第21回アート部門審査委員会推薦作品『The SINE WAVE ORCHESTRA stay, The SINE WAVE ORCHESTRA in the depths and A Wave』(The SINE WAVE ORCHESTRAとして)
第22回アート部門大賞『Pulses/Grains/Phase/Moiré

『「搬入プロジェクト」を山口で実施する』

(アートプロジェクト、リサーチ)

「搬入プロジェクト」の山口での実施を目指す会(代表:渡邉 朋也)

企画について:
危口統之主宰の劇団・悪魔のしるしの代表的な演劇プロジェクトのひとつ「搬入プロジェクト」の山口での再演を目指し、パブリックドメインと芸術の関係を調査するとともに、再演をアシストするためのソフトウェアやマニュアルの開発などをおこなうプロジェクト。このプロジェクトは、2017年にパブリックドメイン化しており、全ての成果はパブリックドメイン化がなされる。

渡邉 朋也 (WATANABE Tomoya)
代表者の渡邉は、山口情報芸術センター[YCAM]において、アーティストの三上晴子が同センターで制作/発表したインスタレーション作品の再制作プロジェクトに従事。メディアテクノロジーが日常レベルで普遍化した今日における、芸術作品の制作スタイルや作家像に関心をもち、匿名性と記名性の間で揺れ動く共創的な表現について調査を重ねている。

文化庁メディア芸術祭での受賞・選出歴:
第16回エンターテインメント部門新人賞『どうでもいいね!』(IDPWとして)

育成支援B(団体)


『Lasermice bicolor + conference』(仮)

(インスタレーション、カンファレンス、ワークショップ、ライブイベント)

菅野 創+塚田 有那

企画について:
群ロボットインスタレーション作品『Lasermice』のアップデート版の制作・発表と同時に、カンファレンス、ワークショップ、ライブイベント(予定)を開催。新作のリサーチ対象である「社会の二極化と分断」「生命の友愛的アルゴリズム」などをテーマに多角的なプログラムを発信することで、アート作品における社会発信の可能性を広く探る試み。

菅野 創 (KANNO So)
アーティスト。2013年からベルリンを拠点に活動。テクノロジーの進化や変化がもたらす事物の本質的な変化に自覚的に、新しい視点をもたらすべく作品を制作する。
http://kanno.so

塚田 有那 (TSUKADA Arina)
編集者、キュレーター。世界のアートサイエンスを伝えるメディア「Bound Baw」編集長。想像力を拡張するアートと教育のプラットフォーム「一般社団法人Whole Universe」代表理事。
https://arinatsukada.tumblr.com

文化庁メディア芸術祭での受賞・選出歴:
第13回アート部門審査委員会推薦作品『Jamming Gear』(菅野 創/西郷 憲一郎)
第15回アート部門新人賞『SENSELESS DRAWING BOT』(菅野 創/山口 崇洋)
第20回アート部門審査委員会推薦作品『形骸化する言語』(菅野 創/やんツー)
第21回アート部門優秀賞『アバターズ』(菅野 創/やんツー)
第22回アート部門優秀賞『Lasermice』(菅野 創)

『画家の不在』

(メディアインスタレーション)

『画家の不在』制作チーム(代表:五島 一浩)

企画について:
広大な闇の中、スポットライトに照らされた「デッサンのモチーフ」と「モデルの座る椅子」が置かれている。周囲には、様々な大きさの凸レンズが吊られ、空白のカンバスに「映像」を映し出す。映像はただ凸レンズによって作られ、何の電気的・機械的プロセスも介在していない。参加者はそこでモデルとなり、撮影者/観察者となり、自らの「見る」という行為と向かい合う。

代表:五島 一浩(GOSHIMA Kazuhiro)
映像作家。アナログとデジタルの境界、感覚の粒子化をテーマに、 実写・CGの両方にまたがる様々な独自手法の映像作品をはじめ、近年は「映像」そのものをテーマとするインスタレーション作品を多く発表する。立体映像作品『SHADOWLAND』で、アルスエレクトロニカ2014 Award of Distinction 受賞。他に、コマのない動画カメラシステム『これは映画ではないらしい』等がある。
http://www.goshiman.com

文化庁メディア芸術祭での受賞・選出歴:
第5回デジタルアート(ノンインタラクティブ)部門優秀賞『FADE into WHITE #3』
第8回アート部門優秀賞『z reactor』
第12回アート部門審査委員会推薦作品『STEREO SHADOW』
第13回アート部門審査委員会推薦作品『grained time』
第18回アート部門優秀賞『これは映画ではないらしい』
第20回アート部門審査委員会推薦作品『BUMPY

『視覚を使わないオーディオゲームの開拓に向けた新規ゲーム製作と環境開発』

(ゲーム開発、リサーチ、ワークショップ)

DDD Project(代表:田中 みゆき/筧 康明、野澤 幸男)

企画について:
オーディオゲームを聴覚やその他の体の感覚を研ぎ澄ませコンテンツを味わうゲームと捉え直し、ヴィデオゲームの視覚情報を音に変換するのではないオーディオゲーム独自の体験を生み出す可能性を探る。ゲーム開発を通して健常者と障害者の協働開発のあり方を探るだけでなく、身体性や知覚の差を乗り越えるゲーム体験の場を創出することを目指す。
上段左から:和田 夏実、加藤 秀幸、野澤 幸男、田中 みゆき
下段左から:田端 秀輝、岡田 憲一、筧 康明
(東京ゲームショウ2019にて/撮影:吉田 直人)
DDD Project
DDD Project は、デザイナー、研究者、プログラマー、キュレーターなど多彩な専門分野をもつメンバーやコラボレーターから成る協働プロジェクト。障害当事者とチームを組み、新しい感覚を用いたコミュニケーション手法の開発を目指し、活動を始める。2018年から『オーディオゲームセンター』を立ち上げ、東京ゲームショウやスパイラルなどで作品を発表する。
https://www.audiogame.center

文化庁メディア芸術祭での受賞・選出歴:
第22回エンターテインメント部門審査委員会推薦作品『Audio Game Center

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